ビルや工場は、電力会社の配電線から 6.6kV(6,600V)の高圧で電気を受け、 受変電設備で 200V・100V などの低圧に下げて使います。 受変電設備の問題は、機器の名前と役割の取り違えを突くものがほとんどです。 機器ごとに「何のためにあるか」「どこまでの電流を切れるか」を押さえましょう。

開閉器類は「切れる電流」で区別する

機器 略称 切れる電流 主な役割
断路器 DS 無負荷のときだけ開閉できる 点検のとき回路を確実に切り離す
高圧交流負荷開閉器 LBS など 負荷電流まで 通常の入り切り。短絡電流は切れない
高圧限流ヒューズ PF 短絡電流を溶断して切る 負荷開閉器と組み合わせて短絡保護
遮断器(真空遮断器など) CB(VCB) 負荷電流も短絡電流も切れる 保護継電器の指令で故障を切り離す

断路器は電流を切る能力をもちません。負荷電流が流れているまま開くと、アークが出て危険です。 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)でも、断路器には関連する遮断器や開閉器が「開」のときに限り開閉できる インターロックを施すこととされています(避雷器用の断路器は省略できる)。

開閉の操作順序

断路器は無負荷でしか操作できないので、操作の順番が決まっています。

操作 順番
停電させる(開く) 遮断器を開く → 断路器を開く
送電する(閉じる) 断路器を閉じる → 遮断器を閉じる

「断路器は、遮断器が開いているあいだにだけ動かす」と覚えれば、どちらの順番も導けます。

受電方式 — CB形と PF・S形

方式 主遮断装置 特徴
CB形 遮断器 + 保護継電器 過電流・地絡を継電器で検出して遮断器で切る。比較的大きな設備に使う
PF・S形 限流ヒューズ + 高圧交流負荷開閉器 短絡はヒューズが切り、通常の開閉は負荷開閉器で行う。小規模な設備に使う

PF・S形の負荷開閉器は短絡電流を切れないので、短絡時はヒューズの溶断に任せる、という役割分担になっています。

計器用変成器 — VT と CT

高圧の電圧や大きな電流は、そのままでは計器や継電器に入れられません。 計器用変成器で、扱いやすい大きさに変換します。

機器 略称 変換するもの 取扱いの注意
計器用変圧器 VT 高電圧 → 低い電圧 二次側を短絡してはならない(過電流で焼損)
変流器 CT 大電流 → 小さい電流 通電中に二次側を開放してはならない(二次側に高電圧が発生)

VT と CT の注意は正反対です。 VT はふつうの変圧器と同じなので短絡が危険、CT は一次側の電流で決まる電流を二次側に流し続けようとするので、 二次側を開くと行き場のない電流が高い電圧を生みます。計器を外すときは、先に CT の二次側を短絡します。 変流器の定格二次電流には 1A と 5A があります。

保護装置 — 地絡と過電流

保護の対象 検出する機器 動作
過電流・短絡 過電流継電器(OCR) CT の電流が設定値を超えると遮断器を開く
地絡 零相変流器(ZCT)+ 地絡継電器(GR) 3線の電流の和(零相電流)が生じると動作する
地絡(方向を判別) 零相変流器 + 零相電圧検出 + 地絡方向継電器(DGR) 構内の地絡だけに動作し、構外の地絡では不要動作しない

正常なときは3線の電流を足すとゼロですが、地絡すると一部の電流が大地へ流れ、和がゼロになりません。 零相変流器はこの差を検出します。 ケーブルが長く対地静電容量が大きい構内では、構外の地絡でも電流が流れて地絡継電器が不要動作することがあるので、 方向性の継電器を使います。

高圧受電設備の電力会社との責任分界点には、一般に地絡継電装置付きの高圧交流負荷開閉器を設けます。 構内の地絡事故を切り離し、電力会社の配電線に事故を広げない(波及事故を防ぐ)ためです。

避雷器(LA)

避雷器は、雷などの異常電圧を大地へ逃がし、機器の絶縁を守る装置です。 電技解釈第37条では、高圧架空電線路から受電する受電電力が500kW以上の需要場所の引込口などに避雷器を施設すること、 避雷器にはA種接地工事を施すことが定められています。

進相コンデンサと直列リアクトル

機器 略称 役割
高圧進相コンデンサ SC 遅れ力率を改善し、線路の電流と損失を減らす
直列リアクトル SR コンデンサと直列に入れ、高調波の拡大と投入時の突入電流を抑える
放電コイル(放電装置) DC 開放後にコンデンサに残った電荷を放電させる

コンデンサは電源から切り離しても電荷が残るので、放電させてから触れるのが原則です。 軽負荷のときにコンデンサを入れたままだと、力率が進みすぎて電圧が上がることがあります。

変圧器まわり

高圧から低圧に下げる変圧器の低圧側は、混触したときに高圧が低圧側に侵入しないよう B種接地工事を施します。 変圧器の損失や並行運転の条件は、「変圧器と誘導電動機の要点」の記事で整理しています。

覚え方のコツ

  • 切れる電流は「断路器 0 < 負荷開閉器(負荷電流)< 遮断器(短絡電流まで)
  • 操作は「切るときは遮断器が先、入れるときは断路器が先
  • VT は短絡禁止、CT は開放禁止」。正反対とセットで覚える
  • 地絡は「ZCT で拾って GR(DGR)が判断」、過電流は「CT で拾って OCR
  • 避雷器は「500kW 以上の引込口、A種接地

機器の略称と役割をセットで言えるようにしておくと、単線結線図を文章で説明する問題にも対応できます。