電気関係の法律の問題は、**「その規定はどの法律のものか」「誰に向けた規定か」**を取り違えさせる形がよく出ます。 4つの法律は、規制する相手がはっきり分かれています。
| 法律 | 規制する相手 | ひとことで |
|---|---|---|
| 電気事業法 | 電気工作物を設置する者(と電気事業者) | 設備の保安 |
| 電気工事士法 | 電気工事の作業をする人 | 人の資格 |
| 電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律) | 電気工事を業として営む者 | 会社の登録 |
| 電気用品安全法 | 電気用品を製造・輸入・販売する者(と使う工事の側) | 製品の安全 |
条文は、いずれも2026年1月1日時点のものです。
電気事業法 — 電気工作物の区分と保安
3つの区分(第38条)
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 一般用電気工作物 | 低圧(600V 以下)で受電する住宅・小さな店舗などの設備と、出力の小さい小規模発電設備 |
| 小規模事業用電気工作物 | 事業用電気工作物のうち、一般用の出力の上限以上の小規模発電設備 |
| 事業用電気工作物 | 一般用電気工作物以外の電気工作物(電気事業用と自家用に分かれる) |
小規模事業用電気工作物は、事業用電気工作物の一部です。 電気事業法施行規則第48条で、発電設備の種類ごとに出力が決められています。
| 発電設備 | 一般用 | 小規模事業用 |
|---|---|---|
| 太陽電池発電設備 | 10kW 未満 | 10kW 以上 50kW 未満 |
| 風力発電設備 | なし(出力の上限が 0kW) | 20kW 未満 |
高圧で受電するビルや工場の設備は、自家用電気工作物です。
保安の仕組み
| 義務 | 事業用(小規模事業用を除く) | 小規模事業用 |
|---|---|---|
| 技術基準への適合維持(第39条) | 必要 | 必要 |
| 保安規程の届出(第42条) | 使用開始前に届出 | 不要 |
| 主任技術者の選任(第43条) | 必要 | 不要 |
| 設置者の届出(第46条) | ― | 使用開始前に氏名・住所などを経済産業大臣に届出 |
小規模事業用電気工作物は、保安規程や主任技術者のかわりに、技術基準適合の維持と、使用前の届出で保安を確保する仕組みです。 使用前自己確認の結果の届出(第51条の2)の対象になるものもあります。
電気工事士法 — 作業する人の資格
資格と作業できる範囲(第3条)
| 資格 | 作業できる電気工事 |
|---|---|
| 第一種電気工事士 | 自家用電気工作物(特殊電気工事を除く)と一般用電気工作物等 |
| 第二種電気工事士 | 一般用電気工作物等(一般用と小規模事業用) |
| 特種電気工事資格者 | 自家用のネオン工事・非常用予備発電装置工事 |
| 認定電気工事従事者 | 自家用の簡易電気工事(600V 以下で使用するもの。電線路を除く) |
- 電気工事士法でいう「一般用電気工作物等」には、小規模事業用電気工作物が含まれます(第2条第1項)。 出力 10kW 以上 50kW 未満の太陽電池発電設備の工事は、第二種電気工事士でも作業できます
- 電気工事士法の「自家用電気工作物」からは、最大電力 500kW 以上の需要設備などが除かれています(第2条第2項)
電気工事士の主な義務
- 作業に従事するときは、技術基準に適合するように作業し、免状を携帯する(第5条)
- 免状は都道府県知事が交付する(第4条)
- 第一種電気工事士は、免状の交付を受けた日から 5年以内に自家用電気工作物の保安に関する講習を受ける。その後も同様(第4条の3)
電気工事業法 — 会社の登録と業務
登録と通知
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録先(第3条) | 2以上の都道府県に営業所 → 経済産業大臣、1つの都道府県のみ → 都道府県知事 |
| 登録の有効期間 | 5年 |
| 自家用電気工事だけを営む場合(第17条の2) | 登録ではなく、事業開始の 10日前までに通知(通知電気工事業者) |
| 建設業者の特例(第34条) | 建設業法の建設業者は登録の規定が適用されず、届出で登録電気工事業者とみなされる |
営業所ごとの義務
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 主任電気工事士(第19条) | 一般用電気工事を行う営業所ごとに、第一種電気工事士、または免状交付後 3年以上の実務経験がある第二種電気工事士を置く |
| 器具の備付け(第24条) | 絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計など。自家用電気工事を行う営業所は、低圧・高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置も |
| 標識の掲示(第25条) | 営業所と電気工事の施工場所ごとに |
| 帳簿(第26条) | 電気工事ごとに注文者・施工場所・配線図・検査結果などを記載し、5年間保存(施行規則第13条) |
| 電気用品の使用制限(第23条) | 電気用品安全法の表示が付された電気用品でなければ、電気工事に使用してはならない |
主任電気工事士が欠けたときは、知った日から 2週間以内に選任します。 電気工事士でない者を作業に従事させることも禁止されています(第21条)。
電気用品安全法 — 製品の安全
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電気用品(第2条) | 一般用電気工作物等の部分となり、またはこれに接続して用いる機械・器具・材料で政令で定めるもの。携帯発電機・蓄電池も |
| 特定電気用品 | 特に危険や障害の発生するおそれが多いもの。登録検査機関の適合性検査が必要(第9条) |
| 事業の届出(第3条) | 製造・輸入の事業を開始した日から 30日以内に経済産業大臣へ |
| 表示(第10条) | 義務を履行した届出事業者が付けられる。特定電気用品はひし形、それ以外は丸形の PSE マーク |
| 販売の制限(第27条) | 表示のない電気用品を販売・陳列してはならない |
| 使用の制限(第28条) | 電気事業者・自家用電気工作物の設置者・電気工事士などは、表示のない電気用品を工事に使用してはならない |
電気工事士が第28条に違反したときは、都道府県知事が免状の返納を命じることができます(電気工事士法第4条第6項)。 電気工事士法と電気用品安全法がつながっているところです。
取り違えやすいポイント
- 「保安規程」「主任技術者」は電気事業法。電気工事士法ではない
- 「免状」「携帯」「講習5年」は電気工事士法
- 「登録5年」「主任電気工事士」「標識」「帳簿5年」は電気工事業法
- 「届出30日」「PSE」「適合性検査」は電気用品安全法
- 「5年」が3つある:電気工事士の講習・電気工事業者の登録・帳簿の保存
覚え方のコツ
- 相手で分ける:「設備 → 事業法、人 → 工事士法、会社 → 工事業法、製品 → 用品安全法」
- 小規模事業用は「太陽光 10〜50kW、風力 20kW 未満」。事業法では届出、工事士法では第二種の範囲
- 自家用の特殊工事は「ネオンと非常用予備発電」、簡易工事は「600V 以下」
- 通知電気工事業者は「自家用だけ、10日前に通知」
条文番号まで覚える必要はありませんが、「どの法律の、誰への義務か」を言えるようにしておくと、 組合せを入れ替えたひっかけの選択肢をすぐに見抜けます。