照明の計算問題は、式が1本(光束法)とその変形だけです。 単位の意味と、照明率・保守率が「何を割り引く係数か」を理解すれば、確実に得点できます。

4つの量と単位

単位 意味
光束 lm(ルーメン) 光源が出す光の量
照度 lx(ルクス)= lm/m² 面に入る光の量。面の明るさ
光度 cd(カンデラ) ある方向への光の強さ
輝度 cd/m² ある方向から見たときの面のまぶしさ

照度は「1m² あたり何 lm 届いているか」です。1m² に 500lm が均等に届いていれば 500lx です。 照度は照らされる面の量、輝度は見る方向を含む量、と区別しておきましょう。

光束法の式

部屋全体の平均照度から、必要な照明器具の台数を求める方法です。

N = E × A ÷(F × U × M)

記号 意味
N 照明器具の台数
E 作業面の平均照度〔lx〕
A 部屋の面積〔m²〕
F 器具1台あたりの光束〔lm〕
U 照明率(光源の光束のうち作業面に届く割合)
M 保守率(使い続けて低下したあとの明るさの割合)

照度を求めるときは、式を並べ替えて E = N × F × U × M ÷ A とします。

考え方

  • 必要な光の量は「照度 × 面積」
  • 器具が出した光は、壁や天井に吸収されて全部は届かない → 照明率 U を掛ける
  • 光源の劣化や器具の汚れで、だんだん暗くなる → 保守率 M を掛ける

U も M も1より小さい値なので、分母に入れると台数が増える方向に働きます。

計算例(台数を求める)

間口 10m・奥行 8m の事務室で、平均照度を 500lx にしたい場合です。 器具1台の光束 4,000lm、照明率 0.6、保守率 0.8 とします。

手順 計算 結果
面積 10 × 8 80m²
必要な光の量 500 × 80 40,000lm
器具1台が作業面に有効に届ける光 4,000 × 0.6 × 0.8 1,920lm
台数 40,000 ÷ 1,920 約 20.8 → 21台

台数は小数点以下を切り上げます。切り捨てると、設計照度に届きません。

計算例(照度を求める)

同じ部屋に 24 台つけた場合の平均照度は、24 × 4,000 × 0.6 × 0.8 ÷ 80 = 576lx です。

照明率を左右するもの

照明率は、次の条件で大きくも小さくもなります。

条件 照明率が大きくなる向き
天井・壁・床の反射率 反射率が高い(明るい色の内装)
室指数 室指数が大きい(広くて天井が低い部屋)
器具の配光 作業面に向かう光が多い器具

室指数

室指数 K は、部屋の形を表す数値です。

K = X × Y ÷ {H ×(X + Y)}

X は間口、Y は奥行、H は作業面から光源までの高さです。天井の高さそのものではありません。

計算例の部屋で、作業面から光源までが 2.5m なら、K = 80 ÷(2.5 × 18)≒ 1.78 です。 同じ床面積でも、光源が高いほど室指数は小さくなり、壁に吸収される光が増えるので照明率は下がります。

保守率を左右するもの

保守率は、光源の光束の低下と、器具や室内の汚れによる低下をまとめた係数です。

  • ほこりの多い場所ほど、保守率は小さくなります
  • 清掃や光源の交換の間隔が長いほど、保守率は小さくなります
  • 保守率が小さいほど、最初に多めの器具をつけておく必要があります

点光源の照度 — 逆2乗の法則

1つの光源から離れた点の照度は、距離の2乗に反比例します。

  • 光源の真下(光に垂直な面):E = I ÷ r²(I:光度〔cd〕、r:距離〔m〕)
  • 光が斜めに入る水平面:E = I × cosθ ÷ r²(θ:光の入射角)

光度 800cd の光源の真下 2m の水平面なら、800 ÷ 2² = 200lx です。 距離が2倍になると照度は4分の1、3倍になると9分の1になります。 斜めから入る光は面に広がって当たるので、cosθ の分だけ小さくなります。

光の質に関する用語

用語 意味
色温度〔K〕 光の色味。数値が低いほど赤みがかった暖かい色、高いほど青白い色
演色性(平均演色評価数 Ra) 物の色の見え方の自然さ。100 に近いほど基準光に近い
グレア 視野の中の高い輝度による不快感やまぶしさ
均斉度 照度のむらの少なさ(最小照度 ÷ 平均照度など)

「色温度が高い=暖かい色」と取り違える選択肢がよく出ます。ろうそくの炎は色温度が低いと覚えましょう。

覚え方のコツ

  • 光束法は「N = EA ÷ FUM」。台数は切り上げ
  • U と M は割り引く係数。小さいほど台数が増える
  • 室指数の H は「作業面から光源まで
  • 点光源は「I ÷ r²」、斜めなら「× cosθ
  • 色温度は「低い=赤い=暖かい

照明計算は、単位をつけたまま計算すると「lx × m² = lm」と確かめられるので、式の並べ替えを間違えにくくなります。