変圧器と誘導電動機は、受変電設備と動力設備の中心になる機器です。 どちらも**「比例するもの」「一定のもの」「2乗で効くもの」**を区別できれば、正誤問題の大半が解けます。

変圧器の基本 — 巻数比

変圧器は、鉄心に一次巻線と二次巻線を巻き、電磁誘導で電圧を変える機器です。 巻数比 a = 一次巻数 N1 ÷ 二次巻数 N2 とすると、理想的な変圧器では次の関係になります。

関係
電圧 V1 ÷ V2 = a(巻数に比例)
電流 I1 ÷ I2 = 1 ÷ a(巻数に反比例)
電力 V1 × I1 = V2 × I2(入力と出力は等しい)

電圧を下げる側(二次側)では電流が大きくなります。 6,600V を 200V に下げる変圧器なら、巻数比は 33 で、二次電流は一次電流の33倍です。 「電力は変わらないので、電圧を下げたぶん電流が増える」と考えると向きを間違えません。

変圧器は交流でしか働きません。直流では磁束が変化せず、電磁誘導が起きないからです。

損失と効率

損失 別名 中身 負荷との関係
鉄損 無負荷損 ヒステリシス損 + 渦電流損(鉄心で生じる) 負荷に関係なくほぼ一定
銅損 負荷損 巻線の抵抗で生じるジュール熱 負荷電流の2乗に比例
  • 負荷が半分になると、銅損は 4分の1 になります。鉄損は変わりません
  • 効率が最大になるのは、鉄損と銅損が等しくなる負荷のときです
  • 鉄損を減らすには、ケイ素鋼板やアモルファス合金の鉄心、薄い鋼板を重ねる(渦電流を小さくする)などの工夫をします

鉄損は、変圧器が電源につながっているだけで発生します。 夜間や休日に軽負荷となる建物では、鉄損の小さい変圧器を選ぶと年間の損失を減らせます。

並行運転の条件

2台以上の変圧器の一次側どうし・二次側どうしをつないで負荷を分担させるのが並行運転です。 条件がそろわないと、変圧器の間を循環電流が流れたり、負荷の分担がかたよったりします。

条件 そろわないと
極性が同じ 大きな循環電流が流れ、焼損のおそれ
巻数比(定格電圧)が等しい 二次電圧の差で循環電流が流れる
百分率インピーダンス降下が等しい 負荷の分担が容量に比例しない
抵抗とリアクタンスの比が等しい 電流の位相がずれ、損失が増える
(三相)相回転と角変位が等しい 位相差で循環電流が流れる

容量が等しいことは条件ではありません。容量が違っても、百分率インピーダンスが等しければ容量に比例して負荷を分担します。 ここはひっかけに使われやすいところです。

三相誘導電動機 — 同期速度と滑り

三相誘導電動機は、固定子の三相巻線が作る回転磁界に引きずられて回転子が回る電動機です。

  • 同期速度 Ns = 120 × f ÷ p〔min⁻¹〕(f:周波数、p:極数)
  • 滑り s =(Ns − N)÷ Ns(N:実際の回転速度)

回転子は回転磁界より少し遅く回ります。同期速度と同じ速さでは回転子を磁束が横切らず、電流もトルクも生じないからです。

計算例

50Hz・4極なら、Ns = 120 × 50 ÷ 4 = 1,500 min⁻¹ です。 実際の回転速度が 1,440 min⁻¹ なら、滑りは(1,500 − 1,440)÷ 1,500 = 0.04(4%)です。 同じ電動機を 60Hz で使うと、同期速度は 1,800 min⁻¹ に上がります。

回転の向きを変える

3本の電源線のうち、どれか2本を入れ替えると、回転磁界の向きが逆になり、逆回転します。 3本すべてを順に入れ替えても、相の順番は変わらないので逆回転しません。

始動法

誘導電動機は、始動の瞬間に定格より大きな電流が流れます。これを抑えるのが始動法です。

始動法 対象 しくみと特徴
全電圧(じか入れ)始動 かご形 定格電圧をそのまま加える。装置は簡単だが始動電流が大きい
Y-Δ始動 かご形 始動時は Y 結線、加速後に Δ 結線へ切り替える。始動電流と始動トルクが全電圧始動の3分の1
リアクトル始動 かご形 直列のリアクトルで電圧を下げて始動する
始動補償器始動 かご形 単巻変圧器で電圧を下げて始動する
インバータ始動 かご形 周波数と電圧を低い値から上げていく
二次抵抗始動 巻線形 回転子回路に抵抗を入れて始動電流を抑え、始動トルクを大きくする

Y-Δ始動の「3分の1」は、交流回路で学んだ「同じ負荷なら Δ は Y の3倍」の裏返しです。 トルクは電圧の2乗に比例するので、電圧を下げる始動法は、始動電流を抑えるかわりに始動トルクも小さくなります。

速度制御

同期速度の式 Ns = 120f ÷ p から、回転速度を変える方法が読み取れます。

  • 周波数を変える:インバータ制御。現在の主流で、省エネルギーにも効く
  • 極数を変える:極数切換電動機。段階的にしか変えられない
  • 滑りを変える:巻線形の二次抵抗制御など

覚え方のコツ

  • 変圧器は「電圧は巻数に比例、電流は反比例
  • 損失は「鉄損は一定、銅損は2乗」。最大効率は「鉄損 = 銅損
  • 並行運転の条件に「容量が等しい」は入らない
  • 同期速度は「120f ÷ p」。50Hz なら 2極3,000・4極1,500・6極1,000
  • 逆回転は「2本入れ替え」、Y-Δ始動は「3分の1

数値の関係を式から説明できるようにしておくと、初めて見る言い回しの選択肢でも正誤を判断できます。