竣工前の試験と、感電を防ぐ安全管理は、条文の数値がそのまま正誤の分かれ目になる分野です。 ここに載せた数値は、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技省令)、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)、 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版(標準仕様書)、労働安全衛生規則(安衛則)で確かめたものです。 法令は2026年1月1日時点のものです。

低圧電路の絶縁抵抗(電技省令第58条)

開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の値以上でなければなりません。

電路の使用電圧の区分 絶縁抵抗値
300V 以下で、対地電圧 150V 以下 0.1MΩ 以上
300V 以下で、その他の場合 0.2MΩ 以上
300V を超えるもの 0.4MΩ 以上
  • 単相3線式 100/200V は対地電圧が 100V なので 0.1MΩ
  • 三相3線式 200V(対地電圧 200V)は 0.2MΩ
  • 400V 級は 0.4MΩ

停電できず絶縁抵抗を測りにくい場合は、使用電圧を加えた状態の漏えい電流が 1mA 以下であればよいとされています(電技解釈第14条)。

施工の試験としての基準(標準仕様書)

標準仕様書では、配線完了後の低圧配線の絶縁抵抗を、開閉器等で区切ることのできる電路ごとに 5MΩ 以上 (機器が接続された状態では 1MΩ 以上)としています。法令の最低限よりずっと高い、新設工事としての品質基準です。 絶縁抵抗計の定格測定電圧は、200V 級の一般の場合で 500V とし、制御機器の損傷が予想されるときは低い電圧で測ります。

法令の値(0.1〜0.4MΩ)と仕様書の値(5MΩ・1MΩ)は、目的が違う別の基準です。混同しないようにしましょう。

高圧電路の絶縁耐力試験(電技解釈第15条)

最大使用電圧が 7,000V 以下の交流の電路は、次の試験に耐えなければなりません。

試験 試験電圧 時間
交流で行う 最大使用電圧の 1.5倍 の交流電圧 連続 10分間
ケーブルを直流で行う 上の試験電圧の 2倍 の直流電圧 連続 10分間

電路と大地との間(多心ケーブルは心線相互間と心線と大地との間)に加えます。

最大使用電圧の求め方(電技解釈第1条)

公称電圧 1,000V を超え 500,000V 未満の電路では、使用電圧に 1.15 ÷ 1.1 を掛けて最大使用電圧を求めます。

項目 計算
最大使用電圧 6,600 × 1.15 ÷ 1.1 6,900V
交流の試験電圧 6,900 × 1.5 10,350V
ケーブルの直流試験電圧 10,350 × 2 20,700V

「6.6kV の電路なら、交流 10,350V・直流 20,700V・どちらも10分」とセットで覚えます。

接地抵抗の測定

接地抵抗は、接地極を埋設したあとに測定します(標準仕様書)。 接地抵抗計を使う方法では、測定する接地極(E)から、電圧を測る補助接地極(P)と、電流を流す補助接地極(C)を ほぼ一直線に、十分に離して打ち込みます。補助接地極が近すぎると、それぞれの影響範囲が重なって正しく測れません。

構造体を利用した接地極などは、標準仕様書では電圧降下法で測定し、それが困難な場合は ウェンナーの四電極法で推定した値とすることができるとされています。 接地抵抗値の基準(A種 10Ω 以下など)は、「接地工事の種類と目的」の記事で整理しています。

停電作業の措置(安衛則第339条)

電路を開路して電気工事の作業を行うときは、開路したあとに次の措置を講じます。

措置 中身
開閉器の管理 作業中、開路に用いた開閉器に施錠するか、通電禁止の表示をするか、監視人を置く
残留電荷の放電 電力ケーブル・電力コンデンサーなどを有する電路は、残留電荷を確実に放電させる
検電と短絡接地(高圧・特別高圧) 検電器具で停電を確認し、短絡接地器具で確実に短絡接地する

通電を再開するときは、あらかじめ感電の危険がないことと、短絡接地器具を取り外したことを確認します。 また、停電作業や活線作業では作業の指揮者を定め、停電の状態や短絡接地器具の取付けの状態を確認してから 作業の着手を指示させます(安衛則第350条)。

高圧の活線作業・活線近接作業

作業 条文 必要な措置
高圧活線作業(充電電路を取り扱う) 安衛則第341条 絶縁用保護具の着用+絶縁用防具の装着、活線作業用器具、活線作業用装置のいずれか
高圧活線近接作業 安衛則第342条 充電電路に絶縁用防具を装着する(絶縁用保護具で足りる場合は除く)

活線近接作業で措置が必要になるのは、高圧の充電電路に対して 頭上距離が 30cm 以内、または躯側距離・足下距離が 60cm 以内に近づくおそれがあるときです。 「頭の上は 30、横と足元は 60」と覚えます。

絶縁用保護具の定期自主検査(安衛則第351条)

項目 内容
周期 6月以内ごとに1回
検査の内容 絶縁性能
使わない期間 6月を超えて使用しない期間は不要。ただし使用を再開する際に検査
記録 3年間保存

このほか、絶縁用保護具などの電気機械器具は、その日の使用を開始する前に点検します(安衛則第352条)。

漏電遮断器(安衛則第333条)

次の移動式・可搬式の電動機械器具を接続する電路には、感電防止用漏電遮断装置を接続します。

  • 対地電圧が 150V を超えるもの
  • 水などで湿潤している場所や、鉄板上・鉄骨上・定盤上など導電性の高い場所で使用するもの

漏電遮断装置を接続するのが困難なときは、金属製外わくなどを接地して使用します。

特別教育(安衛則第36条第4号)

高圧・特別高圧の充電電路の敷設・点検・修理・操作の業務や、 低圧の充電電路(対地電圧 50V 以下のものなどを除く)の敷設・修理の業務には、特別教育が必要です。

覚え方のコツ

  • 絶縁抵抗は「150V 以下 0.1、300V 以下 0.2、300V 超 0.4」、測れなければ「1mA
  • 耐電圧は「1.5倍・10分、ケーブル直流は2倍」。6.6kV なら「10,350V
  • 停電作業は「施錠・放電・検電・短絡接地」、再通電の前に「短絡接地器具を外したか
  • 活線近接は「頭上 30cm・躯側と足下 60cm
  • 保護具の検査は「6か月ごと・記録3年

試験の数値は、「法令の最低基準」と「仕様書の施工品質の基準」のどちらを問われているかを、まず問題文から読み取りましょう。