建設業法の技術者制度は、2024年12月に用語が、2025年2月に金額が変わったばかりの分野です。 古い参考書の数字や名称のまま覚えていると、そのまま失点につながります。 この記事の内容は、すべて2026年1月1日時点の建設業法・建設業法施行令の条文で確かめたものです。
電気工事は建設業法の29業種のひとつ「電気工事業」に当たり、建築一式工事ではありません。 以下の金額は、原則として「建築一式工事以外」の欄を使います。
建設業の許可
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 許可の区分(営業所) | 2以上の都道府県に営業所 → 国土交通大臣、1つの都道府県のみ → 都道府県知事 | 法3条1項 |
| 一般と特定 | 発注者から直接請け負った工事で、下請代金の総額が 5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)となる下請契約を結ぶ者は特定建設業 | 法3条1項2号・施行令2条 |
| 有効期間 | 5年ごとに更新 | 法3条3項 |
| 許可が不要な軽微な建設工事 | 1件の請負代金が 500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150m²未満の木造住宅) | 施行令1条の2 |
特定建設業かどうかは元請として下請に出す金額で決まり、自社で請け負う金額の大きさでは決まりません。
現場の技術者と営業所の技術者
| 置く場所 | 名称 | 対象 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 工事現場 | 主任技術者 | 工事を施工するすべての建設業者(下請も含む) | 法26条1項 |
| 工事現場 | 監理技術者 | 発注者から直接請け負った特定建設業者で、下請代金の総額が 5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上) | 法26条2項 |
| 営業所(一般建設業) | 営業所技術者 | 営業所ごとに専任 | 法7条2号 |
| 営業所(特定建設業) | 特定営業所技術者 | 営業所ごとに専任 | 法15条2号 |
営業所の技術者は、以前は「専任技術者」と呼ばれていました。2024年12月13日施行の改正で、現在の名称になっています。
主任技術者・監理技術者の職務は、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理、施工に従事する者の技術上の指導監督です(法26条の4)。 現場で施工に従事する者は、その指導に従わなければなりません。
電気工事業は「指定建設業」
電気工事業は、土木工事業・建築工事業・管工事業などとともに指定建設業に定められています(施行令5条の2)。 指定建設業の特定営業所技術者と監理技術者は、1級の技術検定の合格者などの国家資格者(または国土交通大臣が同等以上と認定した者)でなければなりません(法15条2号ただし書、法26条2項)。 実務経験だけでは監理技術者になれない、という点が指定建設業の特徴です。
2級電気工事施工管理技士は、一般建設業の営業所技術者と、工事現場の主任技術者になれる資格です。
金額要件(2025年2月1日施行の改正後)
| 要件 | 建築一式工事以外(電気工事など) | 建築一式工事 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 特定建設業・監理技術者が必要な下請代金の総額 | 5,000万円以上 | 8,000万円以上 | 法26条2項・施行令2条 |
| 技術者の専任が必要な工事(1件の請負代金) | 4,500万円以上 | 9,000万円以上 | 法26条3項・施行令27条 |
| 施工体制台帳が必要な下請代金の総額 | 5,000万円以上 | 8,000万円以上 | 法24条の8・施行令7条の4 |
改正前は、それぞれ 4,500万円・4,000万円・4,500万円(建築一式工事は 7,000万円・8,000万円・7,000万円)でした。 監理技術者と施工体制台帳は同じ金額、専任はそれより少し低い金額と、関係で覚えると整理しやすくなります。
専任が必要な工事
専任が必要なのは、請負代金が上の金額以上で、国・地方公共団体が注文者の工事のほか、 学校・病院・事務所・共同住宅・工場・ホテル・百貨店など、公共性のある施設や多数の者が利用する施設の工事です(施行令27条)。 ビルの電気工事の多くがこれに当たります。
専任の監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受け、登録講習を受講した者から選任し、 発注者から請求があれば資格者証を提示します(法26条5項・6項)。
専任の例外(兼任できる場合)
| 例外 | 主な要件 | 兼ねられる数 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 現場の兼任の特例 | 請負代金が 1億円未満(建築一式工事は2億円未満)、移動時間などの要件、情報通信技術で現場を確認する措置 | 現場 2 つまで | 法26条3項1号・施行令28条・30条 |
| 監理技術者補佐 | 監理技術者の職務を補佐する者を各現場に専任で置く | 現場 2 つまで | 法26条3項2号・施行令29条・30条 |
| 営業所技術者等の兼務 | その営業所で契約した工事で、請負代金が 1億円未満(建築一式工事は2億円未満)など | 現場 1 つ | 法26条の5・施行令33条・34条 |
監理技術者補佐は、国土交通大臣が定める要件に該当する者(1級の第一次検定に合格した技士補など)です。 密接な関係のある2以上の工事を同じ場所や近接した場所で施工する場合は、同じ専任の主任技術者が管理できます(施行令27条2項)。
施工体制台帳と施工体系図(法24条の8)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成する者 | 発注者から直接請け負った特定建設業者 |
| 作成が必要なとき | 下請代金の総額が 5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上) |
| 備え置く場所 | 工事現場ごと |
| 発注者への対応 | 請求があれば閲覧に供する |
| 施工体系図 | 各下請負人の施工の分担関係を表示し、工事現場の見やすい場所に掲げる |
| 再下請の通知 | 下請負人が再下請したときは、元請の特定建設業者に通知する |
公共工事では、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条により、 下請契約を締結すれば金額にかかわらず施工体制台帳を作成し、その写しを発注者に提出します(ICTで確認できる措置を講じた場合を除く)。 施工体系図は、工事関係者と公衆が見やすい場所に掲げます。
覚え方のコツ
- 名称は「専任技術者 → 営業所技術者(特定は特定営業所技術者)」
- 金額は「監理技術者と台帳は 5,000万、専任は 4,500万」。建築一式はそれぞれ 8,000万・9,000万
- 兼任は「1億円未満で現場2つ」、営業所技術者の兼務は「現場1つ」
- 電気工事業は「指定建設業」。監理技術者は国家資格者に限られる
- 公共工事の台帳は「金額に関係なく作成・写しを提出」
数字は「どの制度の、どちらの欄か」で問われます。表の縦と横をセットで覚えておきましょう。